京都府立大学 大学院 農学研究科  応用微生物学研究室
渡部 邦彦

【研究テーマ】

有用な微生物や微生物酵素の探索と、それらが持つ新機能の解析・応用に関する複合的研究
・有用な微生物酵素タンパク質を生産する微生物の単離と同定およびその酵素タンパク質と遺伝子に関する研究
・難分解性動物タンパク質を分解する好熱菌とその酵素に関する複合的研究

【研究説明】
 微生物および微生物が生産する酵素タンパク質の利用が益々盛んになってきている。微生物やその酵素タンパク質の新機能開発を、特に好熱性微生物に求め、 様々な分野の知識と技術を利用して研究・解析している。最終的には、社会に貢献できる応用をめざし、現在は、微生物機能を用いた難分解性タンパク質の再生 利用を追究し、医薬、食品の開発や環境浄化に役立つリサイク ルバイオテクノロジー技術の確立を 大きな研究テーマとしている。


・高機能性酵素タンパク質を生産する好熱菌の単離〜
難分解性動物タンパク質(コラーゲン、ケラチンなど)を分解するプロテアーゼ、ペプチダーゼを指標に自然界からの単離を試みる。実用性の面からは、超高熱 状態(80℃以上)ではなく60℃前後で培養でき、長時間安定な酵素タンパク質を生産する中等度好熱菌をターゲットにする。またこれらの好熱菌の分類学的 知見を求める。

・酵素タンパク質の開発と利用性の追究〜
 プロテアーゼ、ペプチダーゼについては、医薬、化粧品、食品への利用だけでなく、環境浄化へも利用性を追究している。
 上記有用酵素タンパク質の遺伝子解析を進めるとともに、酵素タンパク質の構造と機能を解析するため、X線結晶構造解析も共同研究で行っている。
 さらに酵素反応による生成物から、生理機能を有する物質の開発をめざしており、中間生成物を含め、食品、医薬、化粧品などへの利用の可能性を探ってい る。また酵素反応の阻害剤として、特に難分解性タンパク質分解酵素は、微生物の病原性、高等動物細胞におけるガン転移、受精、或いは痴呆症のアルツハイ マー病など、様々な生命現象と密接に関係しており、抗生物質、抗ガン剤、抗痴呆薬の開発などに基礎的情報を提供したいと考えている。
 糖質関連酵素タンパク質については、現在休止中であるが新たな機能性オリゴ糖の生産を目指し、基質特異性に特徴的な酵素タンパク質の検索を行いたいと考 えている。

大まかな研究推進の流れはこちらを参照して下さい。

【関連分野・技術】  
微生物学、生化学、分子生物学、構造生物学、遺伝子工学、ペプチド化学、免疫学、有機化学など
【関連学会】 
日本農芸化学会、日本生物工学会、日本分子生物学会、日本応用糖質学会、日本バイオインダストリー協会、アメリカ微生物学会、など
Publications